改装中
- 2012年 2月 27日
- カテゴリー : グレー Zoooone . パラノーマル(心霊現象) . ミステリー Zoooone . 都市伝説
- 投稿者 : Soogie
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新生活の罠そろそろ卒業・入学シーズン。
新生活に向けて不動産屋さんや引っ越し業者が、忙しくなる時期ですね。
引っ越しを考えている人は、早い者勝ちで物件が決まっていくので、
焦る気持ちはわかりますが、訳あり物件は掴まないように注意が必要です。
かなり前ではありますが、筆者もそんな物件を見たことがあります。
引っ越しを余儀なくされたある日、
馴染の不動産屋さんへ行くと事情を知っていた、そこの社長が「ちょうど良い物件があるから見てきたら?そこは今なら3部屋空いているんだよ」と言って、鍵を貸してくれたのです。行ってみるとエレベーターもない、少し古い4階建てのマンション。
まずはエントランスから一番近かった1階の部屋を見てみました。
日当たりもよく、なかなか良い感じ。
ただ、専用庭があるというので見てみると、さすがにこの部屋の前は、草取りをしていないので雑草がぼうぼう。
まあしょうがないかと2階へ上がってみると、こちらもなかなか良い感じ。
これなら上の階はもっといいかもと3階へと向いました。
そこで、はたと気づいたのですが、1階は101号室、2階は201号室・・・今回借りた鍵の部屋が全部各階の1号室だったのです。
この部屋だけは異様な雰囲気・・・。
なぜなら床から壁まで、リフォームが何もされていないのです!

「なんだよ、期待していたのに!」と思いながら、部屋の中を見て回りました。
そして、ふとリビングを振り返ってみると・・・
壁に赤黒いシミがベッタリ・・・そして点々と・・・。
「こ、これは血???」

すかさず、筆者はその部屋を出て、不動産屋さんに鍵を返しに行きました。
筆者が301号室のことを聞いてみると、
社長は「あぁ・・・まだリフォーム前だったかな・・・」と言い、視線をそらすとそのままどこかへ行ってしまいました。
その後、リフォームしたようですし、入居者も決まったようですが、
あの部屋、そしてあのマンションは、なぜ1号室ばかりが空いていたのでしょうか・・・?
さて、元ホームレスの源さん(仮名)は、ここ数年アパートやマンションの内装をリフォーム現場でのできごと
リフォームする仕事をしているそうです。
特に3月〜4月は、卒業・入学シーズンですし、
部屋の入れ替わりが多いので残業が続く毎日。
そんな源さんが、まだ夏の暑さが抜けきらない9月の中頃、
都内のちょっと古いアパートの改装をしていたときの話です。
1DKの小さな部屋だったので、
源さんはNくんという20歳ぐらいの青年と2人で改装をしたのだそうです。「う、うっ・・・」
外は、まだ30度以上あるのに、部屋に入った途端、源さんはミョーな寒気がしたといいます。

ところが、チャラい若者のNくんは、
「いやーっ、外は暑いのにこの部屋は涼しくて気持ちイイっすね〜!」と、のんきな様子。
ともかく仕事だからと、源さんも道具を持って部屋に入りました。
すでに荷物はなくなっていたのですが、和室に入ってみると畳には1メートルぐらいの赤黒いシミが・・・。

「こ、この部屋、いわく付き物件なのか・・・」源さんが躊躇していると、
「汚ねーなぁ」Nくんは気にもせずに部屋に入ると、その畳を剥がして部屋から持って出て行きました。
「さ、最近の若いヤツは・・・」呆れた源さんをよそにNくんはテキパキと仕事を進めます。
見た目こそチャラいNくんでしたが、
そこそこの経験もあり仕事もしっかりやるので、
2人の作業は思いのほか、はかどったそうです。
そして2〜3日たったある日、源さんはNくんを飲みに誘いました。
酒が入ると母子家庭で育ったNくんは、源さんに対して父親のように接し、
仕事のことや将来の夢などを語ったそうです。
翌日、都合で仕事を休んだ源さん。
「まあ、Nくんなら1人でもしっかりやってくれているだろう」そう思って、次の日現場に入ったのだそうです。

しかし、時間になってもNくんは現れない。
「おかしいなぁ、具合でも悪いのかなぁ」そう思い、Nくんの携帯に電話を入れていみますが、呼び出し音が続くばかり。
仕方なくその日は源さん一人で作業を進めたのだそうです。
ところが翌日もNくんは現れません。

近くの現場で作業していた親方に聞いてみても、何も聞いていないと一言。
次の日は休みだったこともあり、源さんは聞いていた住所を頼りにNくんのアパートに行ってみたのだそうです。
部屋を訪ねてみると、何とNくんがいるじゃないですか!
たった二日で、別人のようにやつれていたのです!

「どうしたんだ!?具合が悪そうだぞ・・・それにしても俺か親方に電話ぐらいよこせよ」
Nくんはうなだれて「スミマセン・・・」と呟きいました。
「大丈夫なのか?」そう言うと何も言わずにNくんは源さんを部屋に招き入れました。
「いったいどうしたんだ?」そう尋ねるとNくんは、何も言わずに一枚だけ真新しい畳を指さしました。
「へっ!?畳?」するとNくんは、一気に話し出しました。
実は、今のアパートの改装の仕事を始めてから、夜中になると金縛りに遭うようになったNくん。
始めは疲れているのか、夢だと思ったNくんでしたが、とうとう一昨日の夜中、部屋に身体が腐って崩れそうになっている男の幽霊が現れて、金縛りで動けないNくんに、にじり寄るように近づいてくるのだそうです。

そして翌朝起きると、
畳にどす黒い
人型のような跡が残っていて・・・
「その幽霊が俺の手を掴んで名前を呼ぶんですよ・・・もう怖くて、昨日の夜はコンビニやマン喫で一晩過ごしたんですよ。で、さっき畳だけ新品に換えて・・・俺、友達少ないし、金もないし、他に行く所もなくて・・・怖くてあのアパートには行けなかったんですよ」
源さんは、その話を聞くとすぐにNくんをお寺に連れて行き、お祓いをしてもらいました。
さらにその足で、改装中の部屋にもお坊さんに来てもらい、そこもお祓いをしてもらったのだそうです。
その晩、源さんはNくんの部屋に泊まったそうですが、お祓いが効いたのか、その晩から幽霊は出なくなったそうです。
その後、Nくんも元気になり、無事にアパートの改装も完了しました。
「きれいに改装すると“曰く付きの部屋”でも見分けがつかないから気をつけた方がいいぞ」源さんはそう言って、引っ越しを考えていた筆者の友人にニタリと笑ったそうです。
引っ越しシーズン、こんな部屋だけには引っ越したくありませんね。
Zooooneでは、読者の方からの曰く付き物件の情報や体験談をお待ちしています。
さて、その後Nくんは心霊体験も笑い話にできるぐらい立ち直ったそうです。
そんなある日、Nくんのお母さんが上京して、Nくんのアパートに1泊したそうで、Nくんは心霊体験をお母さんに聞かせたのだそうです。
するとお母さんは、案の定真っ青になり、幽霊の顔立ちを聞いたのだそうです。
「そう言えば腐りかけなのに、額の傷と鼻の頭のホクロだけはハッキリしてたなぁ」
Nくんが笑いながらそう言うと、お母さんは真顔でこう言いました。
「その幽霊・・・家出した、あんたのお父さんだよ・・・」

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