バブルのときは、よかったね
そんなことを言うおじさんに会ったことはありませんか?
筆者は、バブルの後期に広告業界に入り、しかもその会社が不動産広告を中心にしていたのですが、特にバブルの恩恵も預からず、ただただ忙しい毎日を送っていました。
そんなときに体験したことをご紹介します。

当時、筆者が所属していた会社は、最大手の不動産販売会社の仕事を広告代理店から委託されていました。その中に熱海の高級リゾートマンションの仕事があったのです。

そのリゾートマンションは、熱海駅から車で10分くらいに位置し、最上階は何と数億円!ルーフバルコニーだけで都内のファミリーマンション2室!がすっぽり入り、初島や熱海の花火大会が一望できる!!というだけでなく、各部屋にも温泉が引かれているわ、共同の大浴場があるわと、まさにバブル仕様だったのです。
筆者の会社は、そのマンションのパンフレットから広告まで制作していたため、カメラマンやスタイリストを手配して建物が竣工したときには、自慢の大浴場やロビーの撮影にも立ち会っていたのです。
ある日、次の広告についてクライアントと打ち合わせをしていたときのこと、ようやく打ち合わせも終わり、しばし雑談をしていると突然「そう言えばSoogieさん、夜中まであのマンションの撮影に立ち会ってたんですよね」とクライアントの担当者が言い出しました。
「そうなんですよ。あの日は新幹線の最終電車で横浜まで帰ってきたんですよ」
そう言うとクライアントの担当者が「大丈夫でした?」と真顔で聞いてきたのです。

「えっ?! まあ、市営地下鉄もまだ走ってたんで、なんとか帰れましたが」
「いや、そうじゃなくて・・・」とクライアントの担当者は口ごもってしまいました。
「何ですか、まさか幽霊でもでるんですか」と冗談めかして言うとクライアントは「そのまさかなんですよ」と頷いたのです。
くわしく聞いてみると、それはすでに施工中から起こっていたようなのですが、竣工後さらに現象が悪化したようなのです。

ノコギリを引くような音と黒い影

そのリゾートマンションは、かなり大きいため、清掃員の方も数名働いていました。
その清掃員さんたちが言うには・・・
すでに全室入居可能な状態なのに、どこかからノコギリの音が聞こえてきたり、廊下を黒い影が歩いていたというのです。
そしてある日、3人の清掃員さんが上のフロアへ移動しようと、エレベーターに乗り込みドアが閉まりかけた瞬間、

突然、エレベーターのドアが開き、

“何か”が乗り込んできたのです。

と言っても、実際に見えたわけではなかったそうなのですが、エレベーターの真ん中に“何か”がいる気配がビンビン伝わってくるのです。
その後も廊下や大浴場で黒い影を見かけたという噂が絶えなかったと言います。

現在も時々売り物件が紹介されています。

管理員室を動き回る異様な気配

そして、その黒い影とは別に、一番深刻だったのは管理員室だったのだそうです。
管理員室には、来客用に応接セットが設置されていました。
ところが、管理員さんの奥さんが「右奥のソファに誰か座っている気がして気持ち悪い」とずーーっと言ってるのだそうです。
あまりにうるさいので管理員さんは、ソファを配置換えしたそうです。
するとその日から、奥さんが感じていた気配が動き回るようになってしまったのです。
「実は、いまの管理員さんで3人目なんだよ」
「えっ、だって竣工してまだ2ヶ月じゃないですか!」そう言うとクライアントは、筆者の目を見つめてこう言ったのです。
「最初の管理員さん、ソファに誰か座ってるって言ってた奥さんが、おかしくなっちゃって入院しちゃったんだ精神病院に。次の管理員さんも2週間ぐらいで“気持ち悪い”ってやめちゃったし・・・だからいまの管理員さんが一番長いんだよね」
ちょ、ちょっと待ってくださいよ!夜遅くまで撮影したときに、その管理員室で、筆者は一人でカメラマンの手伝いしてたんですよga-n03.gif
「だから、大丈夫でした?って聞いてるじゃないですか」クライアントは、ニヤニヤと人の悪い笑みを浮かべました。

イメージです

でも、何でそんな現象が起きるんでしょうか。

するとクライアントは、こんな話を教えてくれました。
問題のリゾートマンションは、施工主の社員寮跡地だったのです。
そして、社員寮が建つかなり前ではあるのですが、そこは熱海でも有名な遊郭だったらしいのです。
どうやら社員寮時代から噂はあったらしいのですが、住んでいるのは社員ですから、まあ苦情も押さえ込んでいたのでしょう。
「だから、きっと遊女の霊が、さ迷っているんですよ」
そうクライアントが言うと、いままで黙っていたクライアントの上司がこう言いました。
「そう言えばあのマンション、一部を川の上に建てたんですよ。曲げて建物の横を流させれば良かったんですけど。おかげで湿気が凄くて。でも、そういう環境も幽霊には過ごしやすいのかもしれませんね」

翌週、現地で打ち合わせましょうということになり、筆者は問題の管理員室でコピーを取らなければならなくなったのです。

前出の話を聞いたせいか、春にも関わらず異様な冷気を感じながら、一人っきりで作業したのでしたkusyami02.gif

皆さんのマンションで、不思議な現象は起きていないでしょうか?

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